このブログを含む自社サイトの制作・運営では、複数のAIを実際の業務に組み込んでいます。この記事は、「AI活用」と言われるものを、自分の仕事でどう使っているかを、ツール名・所要時間・失敗談つきで公開する実録です。比較表や一般的な解説ではなく、このサイト自身の制作記録に基づいています。
先に結論を整理すると、AIが特に強いのは次の3つの工程です。
- 調査の自動化: キーワードの収集・競合記事の解析を、手作業の数時間から数十分へ
- 素材の初回生成: アイキャッチ画像を1枚16秒〜90秒で生成(仕上げの目視確認は人の仕事)
- 大量処理と下書き: 記事の構成案・チェックリスト・コードの雛形づくり
逆に、判断(何を書くか・どちらを採用するか)と最終品質の確認は人の仕事です。この線引きを誤ると、薄い記事と修正時間だけが増えます。工程ごとの使い分けを図にまとめると、次のようになります。

以降、工程ごとに具体的に書きます。制作のご相談はお問い合わせフォームからどうぞ。
工程1: キーワード調査の自動化(効果が最も大きい)
記事を書く前の調査は、AI活用の効果が最もはっきり出る工程です。私の方法は次の通りです。
- サジェスト収集: シードキーワードから派生語を自動取得(自社サイトの調査では「ホームページ 制作」1語から約500語を収集)
- SERP取得: 実際の検索結果を自動で取得・保存し、競合のドメイン構成を把握
- 上位記事の解析: 上位5〜7記事を実際に取得し、文字数・見出し構成(H2一覧)を抽出する処理をスクリプト化
従来、ここは「検索して、上位サイトを1つずつ開いて、構成をメモする」という半日の作業でした。今は数十秒〜数分で、しかも取りこぼしがありません。取得した実データを表にして「上位記事が全員書いていること(土俵)」と「誰も書いていないこと(差別化のチャンス)」を分ける作業だけが、人の仕事として残ります。
工程2: 記事執筆(SERP診断→勝ち筋→構成→本文)
記事執筆では、「検索1位を狙うための多段プロンプト」を運用しています。流れは次の通りです。
- 上位記事を実データとして読み込ませ、SERP診断表(文字数・見出し構成・強み弱み)を作らせる
- 検索意図と、関連キーワード(実際に検索されている言い回し)を整理させる
- 差別化の「勝ち筋」を1つ決める。ここは人間が判断する
- 構成案→タイトル案→本文の順に生成。AIっぽい空疎な表現(「いかがでしたか」「〜と言えるでしょう」等)の禁止ルールをプロンプトに明記する
重要なのは、数値はAIに書かせないことです。相場の金額・期間の目安は、取得した実ページから出典つきで抽出したものだけを使い、AIには「捏造禁止・出典必須」をルール化しています。このブログの費用相場の記事の数字がすべて出典つきなのは、このルールのためです。
工程3: 画像・素材づくり
アイキャッチ・カット画像は、ローカルの画像生成環境(ComfyUI + Krea2 Turbo)で作っています。実測値は次の通りです。
- 1536×864pxの生成が1枚16秒〜91秒(モデルの読み込み状態で変動)
- ブログ推奨サイズ(1450×660)に中央クロップして使用
- 失敗例として最も多いのは画像内の文字の乱れ。対策は「画面はソフトフォーカス」「文字の少ない被写体(ワイヤーフレーム等)」にテーマを寄せること。それでも2〜3枚生成して選ぶ
- ライセンスはKrea2 Community(年商100万ドル未満は商用可)を確認して使用
図解が必要な場合は、ChatGPTの画像生成を自動化して使い、サイトと同じ白黒トーン(純白背景・黒の線と文字のみ)の指定をプロンプトに固定しています。写真系の素材は、WordPress移行の実録の記事で使ったように、実スクリーンショットの加工(PILでの比較画像合成)を優先しています。実録記事では、AI画像より本物のスクショの方が説得力が出るからです。
工程4: サイト構築と保守
WordPressから純正PHPへの移行では、調査・設計・実装・検証の各段階でAIを使用しました。移行先の設計判断(ディレクトリ構成・エラー処理・フォームの要件)は人間が行い、コードの雛形・繰り返し処理・検証スクリプトの作成をAIが担う形です。さらに現在は、記事制作の一連の流れ(調査→執筆→検証)自体を自動実行する仕組みを運用していて、この記事もその工程の一部で書かれています。ただし、公開前の目視確認(表示・内部リンク・画像の読み込み)は必ず人が行います。
失敗の実録: ここでつまずいた
実録なので、失敗もそのまま記録します。
- 存在しないURLの参照: AIに「この記事のURL」と聞くと、実在しないURLを生成することがあります。対策は、検索結果を実データとして保存し、そこから正確なURLを引く仕組みにすること。実際に404のURLをそのまま使って取得に失敗し、保存済みデータから引き直したことがあります
- 画像内の文字化け: 前述の通り、生成画像の文字は乱れます。日本語ラベルを含む図解では、短い単語に絞り、生成後は必ず目視で確認します
- 言語の混入: 長文生成で稀に簡体字(中国語の字形)が混ざるため、簡体字チェックのスクリプトを回しています
- チェック自動化の誤検出: 簡体字チェックの初版は、日本語の通常の漢字まで誤検出しました。自動チェックの結果も最終的に人の目で見る必要があります
共通する教訓は、AIの出力を「そのまま使う」のではなく「検証する仕組み」までセットで作るということです。
よくある質問
Q. 無料の範囲でどこまでできますか?
キーワードのサジェスト取得・SERP取得の自動化は、Pythonの基礎があれば無料で構築できます。画像生成はローカル環境(GPU)の構築コストが必要ですが、生成自体は無料で回せます。文章生成は無料枠でも構成案レベルは十分実用になります。
Q. AIで作った記事はSEO的に不利ですか?
Googleは「AIかどうか」ではなく品質で評価するとしています。実際に問題になるのは、誰も書いていないことを確認せず、既存記事の焼き直しを出すことです。上位記事の実データを踏まえた差別化(この記事ならSERP診断の手法)をすれば、制作効率だけが上がります。
Q. 著作権やライセンスの注意点は?
画像生成モデルにはライセンス条項があるため、商用利用の可否を確認します(Krea2はCommunityライセンスで、年商100万ドル未満は商用可)。生成物が既存の著作物に似るリスクは目視チェックで確認しています。
Q. クライアントワークでAIを使うことを明かすべきですか?
品責の観点から、制作プロセスとして説明できる状態にしておくのが安全です。私の場合、この記事のように手法を公開しており、調査・下書きにAIを使い、判断と品質確認を人間が行う設計を説明できます。
Q. まず何から始めるべきですか?
最も効果が大きいのは調査の自動化です。検索→上位記事を開く→構成をメモ、という繰り返し作業を1つでもスクリプト化すると、以降のすべての記事で利益が出ます。制作のご相談でも、この工程の設計を含めてお手伝いできます。
まとめ: AIは「調査・素材・大量処理」に使う
- 調査の自動化(数時間→数分)が最初に投資する価値のある工程
- 画像は生成速度より「文字化けチェックと選別」の体制が品質を決める
- 判断と最終確認は人間。検証の仕組みまでセットで作る
この記事の内容は、実際に稼働している制作プロセスそのものです。AI活用を含めた制作の進め方に興味があれば、お問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。